会社のことをしっかり理解してもらって、それから応募して欲しい。
そう思って、会社は、説明会を開いています。
本当でしょうか?
多分そうじゃないです。
インターネットのリクナビが生まれる前は、会社説明会というのは、今よりもずっと少なかった(らしい)です。
では、どうして説明会が生まれたのでしょうか。
おそらくそれは、応募のハードルを低くして、とにかく学生にたくさんの企業に応募させる、という風潮をリクルートが作ったからだと思います。
いわば、リクルートの戦略です。
リクルートのような求人広告会社からしてみれば、お客さんに「わざわざ高い金を払って、掲載したのに、全然応募が入らないぞ」と言われないための、作戦なんじゃないかな、と思います。
まあ、僕の想像によるリクルートの戦略分析は、置いておくとして、話しを戻します。
何で、企業が会社説明会をするか、でしたね。
それは、学生に「よく知らない会社だったけど、何かすごくいい会社な気がする」と思ってもらって、優秀な学生に応募させること、が目的です。
それは言い換えれば、「会社の本当の魅力を多くの学生に伝えたい」とも言えますし、「何とか、説明会でいい会社だと錯覚させて、実態を知ったら誰も入りたがらないようなうちの会社に応募する人を増やしたい」とも、言えます。
後者は、何となく嫌味っぽい言い方になっていますが、
後者が本心である会社は、たくさんあります。
まず、企業は、説明会に学生を集めるところからはじまります。
ですので、リクナビを眺めると何となく行ってみたくなるような会社説明会が、たくさんあります。
「〜〜業界のウラ、教えます。」
とか
「就職活動のヒケツを伝授します。」
とか、思わず「全然会社説明会じゃないじゃん」と突っ込んでしまいそうな、会社説明会がセミナーという名前で、たくさん並んでいます。
中には、もう社会人である僕も、名前だけ聞くとちょっと覗いてみたくなるようなセミナーがたくさん開催されています。
まず企業は、そういうセミナー(説明会)で学生をたくさん集めます。
そして、「客観的に見ても、うちはこんなにいい会社なんですよ」ということを、まるで軽い洗脳のように、学生に刷り込んでいきます。
そして、
耳障りの良過ぎる、企業のキャッチフレーズを覚えさせられ、
仕事を楽しむ(楽しんでいるらしい)社員の声を聞かせられ、
カッコいいパンフレットやノベルティを持ち帰り、
充分にいい企業だと思わせて、
そして応募させます。
会社の人事部の目的は、優秀な人を採用することなので、一般的には、なるべく多くの応募者を集めた方が、当然いい人に巡りあえる可能性は高くなります。
(また、多くの学生に、良いイメージの自社を認識させることによって、今後社会人になっていく人たちに、良いイメージで自社を覚えてもらう、という企業の広報戦略としての一面もあるでしょう)
つまり、会社説明会の目的は、
『(事実に関わらず)いい会社だと思ってもらうこと』
だと言えます。
もちろん、企業としてやっていることなので、あからさまに虚偽のデータなどは出したりしないですけどね。
では、学生は、どうしたらいいでしょうか。
企業の説明会で、真の企業の実態も分からないまま応募してしまって、いざ採用されて入社してみたら、それはそれはヒドイ会社だった、ということだけは避けなければいけません。
どうしたらよいかという、答えはありませんが、説明会で企業がその企業自身のことを言い出したら、そこを疑ってかかってみるようにしましょう。
例えば「弊社は、お客様の80%にご満足頂いています」と言っていたら、「本当かな、実際には6〜7割くらいじゃないの?」と疑ってみることです。
それだけで、企業の説明を盲信することは防げるでしょう。
しかし、そこで注意です。
その説明会で
「80%の満足度というのは、どういった統計ですか?御社が顧客満足度調査を、これまでの全ての取引会社に行った結果でしょうか。」
などという可愛くない質問は、するべきではありません。
「何でだ!疑ってかかれっていっただろ。痛いところを突かれたくないのか!」
そうではありません。
半ばその企業に応募する気がないのなら、そういう質問もいいと思います。
むしろ、説明会の担当者を焦らせるのも、面白いと思います。
しかし、説明会というのは、人事部主導で行っていることが多いものです。
悪い印象を抱かせるような、質問は極力避けるべきです。
中には「彼は、自分で納得するまでしっかり答えを出して、解決していく人間なんだな」と好印象抱いてくれるかもしれません。
しかし、その痛いところを突かれた質問に答えていた人が、次の面接の面接官だった場合「こいつ、可愛くないな」で落とされる可能性だってあります。
説明会は、後述のように、人事部全体に好印象を持ってもらうようにするべきです。
結論を言えば、説明会で、会社の良し悪しを正確に判断するのは難しいと思います。
ベストなのは、その業界について詳しい人、その業界で働いている人にOB訪問をして客観的な意見を聞いてみることです。
そこで「あそこは、未来ないよ」と言われたら、素直に止めるべきです。
ちょっと寂しい結論ですが、これまでたくさんの企業説明会を行ってきた僕が、学生さんのためを思っていうならば、会社説明会では、会社の事業内容だけ理解して、あとは選考へのステップの一つだと思うようにしましょう。
では、ある程度その会社は信頼することが出来て、説明会を利用して自分をアピールして、何とかその次の面接でのプラスにつなげたい、という場合は、どうすればよいでしょうか。
その場合の行動は一つです。
質問しまくってください。
学生側がアクションを起こせるのは、質疑応答の時間くらいです。
質疑応答は、ほとんどの説明会で設けていると思います。
そこで周囲の空気など、気にせず、これでもかと質問しまくってください。
説明会は、ほとんどのケースで人事部が主導で行っています。
当然その説明会に参加している人が次の面接の採用担当者、というパターンも少なくありません。
僕自身、説明会にはほとんど参加していましたし、説明会自体は、部下や上司が行っている時も、会場の後ろで見ていることがほとんどでした。
そこで、何回かアクティブに質問している人を見ると、「オッ、元気のいい学生がいるな」くらいには、思うものです。
その後の面接で、その学生にあたれば、やはり「あの時、たくさん質問していた学生だな」と思い出す事がほとんどです。
質問の内容も、先程可愛くない質問はよくないと言いましたが、揚げ足取りでない質問ならば、大丈夫です。
例えば「失礼ですが、御社は、昨年に比べ業績を落としているようですけど、これは何故ですか。」などです。
きっと快く答えてくれますし、印象も悪くなることはありません。
質問の内容など、ちょっと考えればいくつでも思いつくはずです。
PR活動についてでも、営業活動についてでも、ブランド戦略についてでも構いません。
どんどん質問をして、人事部の面々に名前と顔を覚えてもらってください。
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